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ゼロウェイストでコラボ好きな八百屋が、楽しくポップにオーガニックを広めていく。『ORGANIC&CO.』

大宮
ゼロウェイストでコラボ好きな八百屋が、楽しくポップにオーガニックを広めていく。『ORGANIC&CO.』

全国の提携農家さんから届いたみずみずしいオーガニックの野菜や果物を販売する八百屋「ORGANIC&CO.」。青果物から作るオーガニックスムージーとクラフトビールなどのドリンクが店内併設のカフェ&バーで楽しむことも出来る。

「農業の現場」をイメージし設計された店舗デザインと、包装を極力使用しない「量り売り」などの店舗システムが評価され、2022年にグッドデザイン賞を受賞した。

また、オーガニックの楽しさを広めたいという想いから、さまざまなジャンルの方とのコラボイベントの開催にも積極的に取り組んでいる。

今回は運営元である「株式会社 協同商事」広報の田邊さん(トップ画像左)と店舗責任者の市川さん(トップ画像右)に、グッドデザイン賞を受賞した店舗デザインやシステム、オーガニックの楽しさを伝えるための取り組みを中心にお話を伺った。

グッドデザイン賞を受賞。「農家の現場」を表現した店舗デザイン

――本日はよろしくお願いします。それにしても、素敵なデザインの店内ですね。

田邊さん: ありがとうございます。店舗デザインを担当してくださった会社の代表の方が元々、米農家の生まれだそうで、リアルな農業を知っているデザイナーさんを起用しています。店舗の端々で「農業の現場」を感じられるような店舗デザインとなっています。

リヤカーに陳列された野菜や果実
ビニールハウスをイメージして作られたカウンター

――たしかに、端々から「農業の現場」が感じられますね。2022年にはグッドデザイン賞を受賞されたとお聞きしました。

田邊さん: 主に店舗デザイン、システムの両面を評価していただき受賞することが出来ました。

――店舗システムの面とは具体的にどういったところなのでしょうか。

田邊さん: 「ORGANIC&CO.」はオーガニックの野菜や果物のみを扱うオーガニック専門の八百屋なのですが、ゼロ・ウェイストを目指し、プラスチック包装を極力使用しない「量り売り」を導入しております。

また、店内の野菜と果物から作ったオーガニックスムージーやファミリーブランドであるCOEDOも取り扱うカフェ&バーを併設しています。店頭では充実した在庫によって需要と共有のバランスを取りつつも、結果的に過剰在庫分となった野菜・果物は高品質冷凍を施し、カフェ&バーでスムージーなどの原料として併用し、「フードロス対策」をしております。

ゼロウェイスト、少量購入、エンタメ性。「量り売り」の多様なメリット

―― どちらも環境面に配慮された素晴らしいシステムですね。「量り売り」は国内ですとかなり珍しい印象ですが、お客様の反応はいかがでしょうか?


市川さん:少量からでも購入が出来ますので、単身者の方を中心にご好評いただいております。
また、ご自身で青果物一つ一つを手に取って選ぶことや、値段が重さで決まるシステムは目新しさがあるようで。

先日、SNSで「量り売り」の購入までの流れを説明した動画を投稿したところ、多くの方から反響がありまして、若い世代の方を中心にSNSのフォロワーが急増したこともありました。

――   たしかに、目新しさとエンタメ性があってSNSウケも良さそうです。「量り売り」を通してお客様とのコミュニケーションのきっかけにもなりそうですね。

市川さん:そうですね。
私たちは昔ながらの八百屋さんのような、お客様との積極的なコミュニケーションを大切にしております。
取り扱う野菜のリクエストにお応えしたり、野菜選びのポイントをお伝えすることもありますね。

コエドビールの量り売りも行っている。

規格外のさつま芋から誕生したコエドビール

――「量り売り」を採用されたきっかけは何だったのでしょうか?

田邊さん: 「ORGANIC&CO.」は1970年代から青果物の卸売を中心に事業を展開している『株式会社協同商事』が運営しております。協同商事は川越地域の農産物の活用からビール醸造を96年よりスタートし『COEDO(コエドビール)』というブランドを国内外へ展開もしております。

農家やリテールが感じている現場での課題の他、国内の耕地面積のうち有機認証を受けているのはわずか0.3%程度しかない現状から、オーガニックの農業の意義を正しくお伝えすることをミッションとし、またオーガニックを取り入れた生活をストイックやマニアックにならず、無理せず我慢せずカジュアルに楽しむ「Fun Organic  / ファン・オーガニック」をコンセプトに、DtoCブランド「ORGANIC&CO.」を2022年1月にオープンしました。

店内には様々なタイプの席があり、店外にはテラス席も用意されている。

オーガニックをもっと楽しんでもらうために

――  規格外だからといって品質が落ちるわけではありませんし、むしろ好みのサイズで購入できることは消費者にとっては有り難いことのように感じます。課題解決という目的がある一方で、HPには「FUN ORGANIC」という言葉も掲げていらっしゃいますよね。

市川さん: はい。
店名の「ORGANIC&CO.」の【CO.】には、クラフトビールやチョコレート、工芸、或いはローカルやコミュニティなど、オ―ガニックに近しい価値観の方々は仲間たちであるという意味でのCOMPANYから来ています。例えば野菜に携わる方はもちろん、さまざまなジャンルの方とコラボレーションをしてイベントを開催しております。

コラボを通して様々な角度からオーガニックの魅力にも触れてもらうことで「オーガニックは楽しいっ!」と感じてもらえたらなと。

―― 最近ですと、どのような方とコラボされたのでしょうか?

市川さん:オオミヤから「食」を提案、発信するユニット『オオミヤシマイ』さんとコラボをしまして、味噌作りや玉ねぎ麹ジンジャー麹シロップ作りのワークショップを開催しました。

どちらのワークショップも多くの方からご好評いただきまして、現在は次回開催のイベントの計画を立てているところです。

実際のイベントのチラシと当日の様子

――  様々なジャンルの方とコラボすることによって、今までオーガニックに触れる機会がなかった方にも、楽しんでもらえるきっかけになりそうですね。

市川さん: そうですね。
コラボイベントの開催以外にもオーガニックを楽しんでもらえるよう、店舗内で様々なことにチャレンジしております。
オープン当初はドリンクメニューのみでしたが、現在はビールのおつまみやパフェなど食事メニューを提供しておりまして。今後はランチやお菓子作りにも取り組んでいきたいなと思っております。

――   新しい取り組みのアイディアは、店舗で働いているスタッフの方からでてくるのでしょうか?

市川さん:店舗での取り組みは基本的に店舗スタッフにお任せしておりまして。スタッフは料理やSNS運用などそれぞれの得意分野を活かし、日々楽しみながら、さまざまなことに取り組んでおります。

――  働いているスタッフの方のアイディアが、すぐに実践出来る環境が整っているのですね。他にこれから取り組んでいきたいことはありますでしょうか?

田邊さん: 農家さんと料理人さんをお呼びしたトークショーや、コエドビールを絡めたイベントを開催したいなと考えております。

――   それはとてもワクワクします。
店舗デザイン、システム、イベントなど様々な側面に工夫を凝らされている『ORGANIC&CO.』を通じて「オーガニックは楽しいっ!」と感じる方がこれからどんどん増えていきそうですね。本日はありがとうございました。

ORGANIC&CO.
  • 住所:〒330-0802 埼玉県さいたま市大宮区宮町2ー1ー1
  • 営業時間:平日 11:00ー20:00 土日祝 10:00ー19:00
  • 定休日:毎月第4月曜日・Bibli定休日
  • Instagram URL:@organicco.omiya
  • HP:https://organic-co.jp

〈インタビュアー・文・撮影:菊村夏水 / 企画・編集:青野祐治

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