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“自転車が家族も地域も楽しくする” さいたま市に新たな道をつくり地域を活性化させる。「バイクロア」

大宮
“自転車が家族も地域も楽しくする” さいたま市に新たな道をつくり地域を活性化させる。「バイクロア」

2011年にさいたま市桜区にある秋ヶ瀬公園で初めて自転車イベントを開催したことを皮切りに、山梨県白州、大阪府堺、茨城県土浦と全国で自転車イベントを開催する「一般社団法人バイクロア」。

イベントは子供向けの自転車レースや、豊富な出店ブース、授乳室の設置など家族で参加しやすい配慮がなされ、多くの人から支持を得ている。

2021年には官民連携型のまちづくり事業の一環で旧大宮図書館をリノベーションして作られた複合施設「Bibli」の立ち上げに関わり、大宮を舞台に自転車を絡めたまちづくり事業にも取り組む。

今回は代表を務める松原満作さん(以下、松原さん)に、バイクロアの立ち上げ経緯や全国の自転車保有台数2位のさいたま市においての自転車を通じてのまちづくりの可能性について伺った。

「家族で楽しめる」自転車イベントを開催する理由

――本日はよろしくお願いします。「バイクロア」さんのイベントは子供向けやママチャリで参加できるレースの開催、充実した出店ブースの設置など、家族連れで参加しやすい印象です。そのようなイベント設計にされている理由はなんでしょうか?

松原さん:それまで開催されていた多くの自転車イベントは大人のレースがメインだったんですよね。

そうなると、家族に気を遣いながら参加しないといけなくなる人も多い。家族も一緒に楽しめれば参加することに後ろめたさはなくなるし、自転車の魅力に触れる人が増えるきっかけになると思い、現在のようなイベント設計になりました。

自由な車種、衣服で参加できる「OWL CLASS」の様子。着ぐるみを着た人や仮装した人が参加している。

――そういった経緯があったのですね。多くの人で賑わっているのも納得です。「バイクロア」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

松原さん:昔から自転車が好きで、ある時期さかんに友人と全国各地のイベントに参加していたんです。

そのくらいのタイミングで、僕と仲の良いもう1人の友人が実家の家業を継ぐことになったんですよね。それで、せっかくなら「地元であるさいたま市付近で自分達でイベントを開催したいよね」という話になりまして。

「門前払い」からのスタート。思い出が詰まった秋ヶ瀬公園でのイベント開催に至るまで

松原さん:初めてイベントを開催した秋ヶ瀬公園は幼い頃、友達と自転車で遠出して行った思い出の場所だったんです。改めて行ってみたらやっぱり素敵な場所で。そのままの足で公園管理課にイベント開催の相談に行ったんです。

――すごい行動力です。反応はいかがでしたか。

松原さん:初めは前例がない話だったので、門前払いでした。

――そうだったのですね。

松原さん:ですが、所長が理解のある方で与えた課題をクリアしたら開催してもいいよと。その一つが秋ヶ瀬公園のゴミ拾いで、これは今も毎年開催しています。

それらの与えられた課題をクリアして行った結果、11年前の2011年に無事第一回目のイベントを開催することが出来たんですよ。ありがたいことに、第一回目から多くの方に参加していただいて、徐々に他の自治体でも開催させてもらえるようになったんです。

ゴミ拾いの様子。

大宮のコモンプレイス「Bibli」の立ち上げにも参画

――まるでドラマのような展開ですね…!自転車イベント事業が好調な中で2021年には、一見自転車と関係がなさそうな旧大宮図書館をリノベーションして作られた複合施設「Bibli」の立ち上げに関わられましたが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

松原さん:友人から、行政が旧大宮図書館を利用した官民連携型のまちづくりに取り組みたいというお話を聞いたんですよね。

僕自身、秋ヶ瀬公園で毎年のようにイベントを開催していたので、自転車を絡めて地元であるさいたま市を活性化させていきたいなと考えていました。そんな時にこのお話を聞いて、大きなチャンスだと思ったんです。

ただ、自分たちだけでは動けないので、「戸田建設」、「戸田ビルメンテナンス」、「キャンプサイト」、「バイクロア」の4社でコンソーシアムを組み、旧大宮図書館を地域の人が集まる場所として活用しつつ、自転車を活用したまちづくりをする提案を行政に行った結果、私たちの案を採用していただきました。

「Bibli」の入り口付近にある『BIKE LORE STORE』では、オリジナル商品やアイス、ドリンクの販売をしている。

「グループライド」「レンタサイクル」。街の魅力を感じる仕掛け

――そのような流れだったのですね。さいたま市は自転車の保有台数が全国2位ですし、街の活性化に自転車の活用はとても大切になりそうですね。

松原さん:そうですね。さいたま市は道路に自転車用の道が整備されていたり、平地でアップダウンが少ないので、自転車移動がしやすい環境が整っているんですよね。

多くの人が保有している自転車を活用することで、コストをかけず街の活性化に繋げることが出来ると思うんです。

―― そのような環境が整っているとは知らなかったです。「自転車×まちづくり」の観点では、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。

松原さん:毎月末の日曜日にBibliで「みんなのマルシェ」を開催しているのですが、その時にさいたま市内の魅力的な場所を自転車で回る【グループライド】を開催しています。

参加者の方からは街の魅力的な場所を発見したり、季節の変化を肌で感じられるとご好評いただいています。

加えて、現在観光向けのレンタサイクルの整備を進めています。市内にたくさん素敵なカフェやパン屋があるのでそれらをまとめたマップの作成を進めていて、観光客の方はもちろん、地元の方にも活用していただけたら嬉しいです。

さいたま市に「新たな道」をつくっていく

―― 様々な施策を行っていたり、準備されているのですね。自転車移動は車や徒歩とはまた違うちょうどいい速度の移動で、街の魅力の発見や季節を感じるにはうってつけな気がします。「バイクロア」としてこれから取り組んでいきたいことはありますか?

松原さん:現在「トレイル道整備」という事業に取り組んでいます。

例えば、秋ヶ瀬公園には元々道だったけれども今は使われておらず、草が生い茂りゴミが捨てられ、使用できなくなっている場所が結構あるんですよね。そういった場所を綺麗に整備して、再び使えるようにしています。

―― 道の再生を行われているのですね。

松原さん : そうですね。

現在、その事業を徐々に拡大させておりまして。埼玉県の荒川沿いには、使われなくなってしまった道や開墾されていない獣道が結構ありますので、整備をして、それぞれの道を繋げていきたいと思っています。

その道を自転車好きの方に利用してもらえれば、街の活性化に繋がる可能性を秘めていると思うんですよね。新たにコンクリートを使ってサイクリングロードを作ることに比べてお金がかからず、地球環境にも優しいですし。

今後も、着々と計画を進めていけたらと思っています。

――自転車を活用したまちづくりであり、環境保全にも繋がっているのですね。今後がとても楽しみです。本日はありがとうございました。

BIKELORE STORE
  • 住所:〒330-0803 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2ー1−1
  • 営業時間:12:00ー18:00
  • 定休日: Bibli定休日
  • HP: https://bikelore.jp
  • Instagram : @bikelore_store

〈インタビュアー・文・撮影:菊村夏水 / 企画・編集:青野祐治

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