築８０年の古民家を改装、コワーキングスペースを備える新しい古着屋「BANKARA」が大宮の街を彩っていく。

大宮一宮通りに佇む、築８０年の古民家を改装して作られた古着屋「ＢＡＮＫＡＲＡ」。

古民家の内装を活かした店舗設計、雰囲気に合わせた商品選びが人気で、足繁く通う常連さんも多い。

２階にはコワーキングスペースが設置されており休憩・仕事場としてだけではなくイベントスペースとしても利用が可能だ。

運営メンバーには大宮付近出身者も多く、地域を盛り上げたいという想いから地域で開催されるイベントにも積極的に参加している。

今回は「ＢＡＮＫＡＲＡ」を含む大宮で２店舗、富山で１店舗のお店を経営する『株式会社 ＤＯＷＮ ＴＯＷＮ』のメンバーの一人、市川さんに多くの人を魅了する店舗設計の秘密や地域への想いをお伺いした。

築80年の古民家の雰囲気や内装を活かしたお店づくりを

――現在のお店を始めた経緯をお伺いできますでしょうか。

市川さん： 『ＢＡＮＫＡＲＡ』を運営している「株式会社ＤＯＷＮ ＴＯＷＮ」の社長が２００５年に大宮で始めた古着屋を、私を含めた何人かのメンバーで手伝い始めたことから活動が始まりました。

徐々に活動範囲を広げ、東京の高円寺や原宿にも店舗を構えていた中で、こちらの物件が空くという話をお聞きしまして。

築８０年の古民家という雰囲気がとても素敵だったことと、歴史のある建物を残していきたいと想いから、オーナーさんに譲っていただき２０１３年に『ＢＡＮＫＡＲＡ』をオープンしました。

――元々は一階の現在の半分程度の大きさで営業を開始されたとお伺いしましたが、現在の店舗の規模感になったのはいつ頃なのでしょうか。

市川さん : 始めた当初は一階部分が壁を隔てて二つに分かれておりまして、その一方でお店を営業していました。

２０２０年にもう一方のスペースに入っていたお店の閉店に伴い、壁を取り壊して一階部分をつなげ、さらに二階部分を解放したことで、現在の状態となりました。

――そうだったのですね。古民家の雰囲気と広々としたスペースを活用された素敵な店内だなと感じました。お店作りで大切にされていることはございますか？

市川さん : ２０２０年にお店を改装する際は、築８０年の古民家の内装を出来るだけ残し、その雰囲気を活かした空間作りを心掛けました。　　

改装前と比べて敷地面積を確保できたこともあり、所狭しと商品を置くというより、動線や居心地の良さを意識して商品やインテリアを配置しています。

商品も古民家の雰囲気に合わせて、古着であればコットンやリネン等の天然素材のものを中心に仕入れるようにしていますね。

古着以外にも植物やラグ、古道具などライフスタイルが豊かになるような商品を中心に取り扱っています。

休憩、仕事、イベント。地域の人々が交わるコワーキングスペース

―― ２階の一部はコワーキングスペースとなっていますが、どのような経緯で設置したのでしょうか？

市川さん： 売り場面積は確保出来ていたことから、お客様が休憩できたり近隣の方に活用していただける場所としてコワーキングスペースを設置することにしまして。

休憩や作業場以外にもヨガレッスンや会議など、様々な用途で利用していただいておりまして、今後はイベントスペースとしての利用も増やしていきたいです。

――イベントといえば、隣に構えている『ＴＯＫＩＷＡ』さんでは定期的にイベントを開催されていますよね。

そうですね。直近ですと２０２３年の４月にパン屋さんの「ＨＡＲＡＰＥＫＯＰＡＮ」とお皿屋さんの「ｅｍｍｅｏ」のコラボイベントを開催しました。

――お店の雰囲気にあった素敵なイベントですね。

市川さん： ありがとうございます。元々、『ＴＯＫＩＷＡ』はライフスタイル系のアイテムを多く扱っていますので、パン屋さんとお皿屋さんは相性が良かったように感じていましたね。

『ＴＯＫＩＷＡ』と「ＢＡＮＫＡＲＡ」２階のコワーキングスペースはそれぞれ雰囲気が違いますので、イベントの内容によって使い分けてもらえたら嬉しいです。

コロナ禍の苦境を救ったお客様の声

―― 店舗内でのイベント以外にも、昨年度に『大宮門街』で開催された「ＯＭＩＹＡ ＳＴＲＥＥＴ ＷＡＲＤＲＯＢＥ」」や、今年度の7月末に開催予定の「ＯＭＩＹＡ ＤＡＩＭＯＮON ＭＡＲＫＥＴ」など、大宮付近で開催されているイベントにも積極的に参加されていますよね。地域との関係性を大切にされているのかなと感じています。

市川さん： 創業メンバーや今現在働いているメンバーの多くはは大宮、与野、浦和付近で生まれ育ちました。

一時期、都内でお店を経営していた時期もありましたが、最終的には生まれ育った地域を盛り上げたいという気持ちはメンバー共々ずっと持っていました。

その想いはコロナ禍のお店が苦しい時期に、たくさんのお客様がわざわざ店舗に足を運んでくださって

「大変だと思いますが、頑張ってください」

「また来ますので、ぜひお店を続けてください」

と、暖かい声をかけてくださったことでより、強くなりましたね。親子二代で通ってもらえるくらいお店をこの地で末長く続けていきたいです。

ですので、これからも機会があれば地域で開催されるイベントにも積極的に参加して、地域の力になりたいと考えています。

── 一緒に大宮付近を盛り上げていけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

〈インタビュアー・文・撮影：菊村夏水 / 企画・編集：青野祐治〉