イベントを通じて住民のつながりを深め、大宮に住む人を増やす。 / 栗原 俊明
大宮で生まれ育ち『大宮東口商店街連絡協議会』の会長や『大宮銀座商店街協同組合』の理事長、『有限会社銀座茶房』の代表という肩書きを持つ栗原俊明さん。
音響屋という顔も持ち、積極的に地域イベントの現場に携わっている。
地域に戻ってくる人を増やしたいと、若い世代に向けた取り組みも積極的に行う一面も。
生まれた頃からイベントが身近にあった栗原さんに、一度は離れた大宮に戻ってきた理由や地域におけるイベントの魅力を中心にお話を伺った。
地域の風通しをよくして、若い世代を応援する
―― 本日はよろしくお願いします。
栗原さんはさまざまな地域イベントに携わっている印象なのですが、最近ですとどのようなイベントに?
栗原さん : 音楽やアートで、潤いと豊かな文化あふれるまちづくりを進めるために2007年から始まった「アートフルゆめまつり」や映画文化の復活と、若い才能の発掘を目指して2021年から始まった「SAITAMAなんとか映画祭」などですね。
どちらも市民が主体となって立ち上げ、運営をしているイベントです。
―― 栗原さんは『大宮東口商店街連絡協議会』の会長や『大宮銀座商店街協同組合』の理事長といった役職に就いていながら、全体の運営だけでなく現場のスタッフとして活動されている場合も多いですよね。
栗原さん : そうですね。
『有限会社銀座茶房』という会社を経営しておりまして、大宮駅東口銀座通りにある『銀座ビル』の管理運営の他に、音楽事業を行っているんです。
イベントには音響設備が必要な場合が多いので、そういった準備・サポートから、イベント全体のオーガナイズまですることがあり、現場で動いていることが多いです。
―― 若い世代が主催となって開催するイベントにも携わられている印象なのですが、意識されていることはありますか?
栗原さん : 基本的に何でも面白がる性格でフットワークが軽い方なので、声をかけてもらったら出来るだけ携わるようにしているところはありますね。
それと、僕がそうやって上の世代にサポートしてもらってきたので、地域で何か新しいことをしたいと思っている若い方は積極的に応援したいなと思っています。
地域は関係性が固定化されやすい側面もあると感じるので、上の世代が地域の風通しを良くしておくことが大切だと思うんです。
―― 栗原さんにとってイベントの魅力とは何でしょうか?
栗原さん : たくさんの人が地域に来て盛り上がったり、準備段階のやり取りで人のつながりが生まれることですかね。
―― イベントの魅力といえば、前者のイメージが強かったのですが、人のつながりをつくる役割もあるのですね。
栗原さん : そうですね。新たにつくるだけでなく、元々あったつながりを深めるような役割にもなっていると感じます。
まずは企画メンバーが「楽しいと思えるかどうか」
―― イベントを企画する上で、たくさんの人が地域に来たり、人のつながりをつくるために大切にしていることはありますか?
栗原さん : いろいろあるのですが、企画している段階で自分達が「楽しいと思えるかどうか」ということを大切にしていますね。
それが結果的にイベントに参加する人達にも伝わると思っています。
―― 楽しい企画はどのように生まれるのでしょうか。
栗原さん : アイディアを出しあう時に、企画メンバーで集まって話し合う時間も大切ですが、もしも可能であれば、その後にみんなで飲みに行くようにしています。
ワイワイ飲みながらだと、色々なアイディアもでてくるんですよね。
もちろん、飲んでいると話したことを忘れてしまう可能性も高まりますが(笑)。
でも翌日起きた時に、覚えているアイディアが本物だなって思うんです。
―― それは洗練されたアイディアが出てきそうです(笑)。
栗原さんは、幼少期からイベントに参加したり携わっていたのでしょうか?
栗原さん : そうですね。
僕の実家は元々、現在会長を勤めている「大宮銀座商店街」にあり昔からイベントが盛んな地域でした。
父も商店街のメンバーの1人としてイベント運営に携わっていましたし、幼い頃からイベントが身近にありましたね。
―― 生まれがこの辺りというお話でしたが、ずっと大宮に?
栗原さん : いえ、大学までは大宮に住んでいたいのですが、ずっと実家にいるのもよくないかなと思い就職を機に都内で一人暮らしを始めました。
31歳の時に家業の『有限会社銀座茶房』を継ぐことになり、また大宮に関わるようになったのですが、それからもしばらくは都内から通っていましたね。
大宮に戻るきっかけとなった「コワーキングスペース」との関わり
―― 大宮に再び住み始めるきっかけは何だったのですか?
栗原さん : 12年前に現在『株式会社コミュニティコム』の代表を勤めている、「星野邦敏」さんと出会ったことがきっかけですね。
当時、星野さんは大宮でコワーキングスペースが出来るテナントを探していらっしゃって。
僕は家業を継いでから、商店街の会長に就任したり、街全体を巻き込んだ1000人規模の街コンイベントをやったりしていたんですよね。
その活動を見ていた星野さんの知り合いが、大宮で面白いことをしている人がいるから話ししてみたらどうだと、僕のことを星野さんに紹介してくれたんです。
―― 12年前だとまだ、コワーキングスペースは珍しい時期ですよね。
栗原さん : お話を聞いて率直にどう感じましたか?
僕は大学の専攻が図書館に関連することで、元々人が集まって各々がやりたいことに集中するような自由度の高い空間に興味関心があったんですよね。
星野さんがアメリカのコワーキングスペースの映像を見せてくれた時に、作りたかった空間にすごく近いなと思いました。
それで僕の会社で所有している「銀座ビル」の7階を貸し出し、「大家」「店子」の関係を超えて、コワーキングスペース運営のお手伝いを始めました。
コワーキングスペースは基本的に毎日運営するので、自然と地元に戻る腹が決まりましたね。
――そうして大宮に再び住み始めたと。
栗原さん : はい。
戻ってくると今まで以上に地域の人と顔をあわせる機会が増えて、関わりが濃くなっていったように思います。
関係性が深まるほどに、色々とお声がけいただく機会も自然と増えましたね。
プライベートの活動が仕事に
――大宮に戻ってきたことが、今のさまざまな役割や肩書きにつながっているのですね。
栗原さんといえば、イベントで音響を担当されているイメージも強いのですが、いつから取り組まれているのでしょうか?
栗原さん : 大宮に戻ってきてからですね。それまでは全く関わりのない分野でした。
――そうなのですね。てっきり前職などで携わっていたのかと思っていました。
栗原さん : 元々、音楽は好きで楽器に触れたりする機会はあったのですが、大学の専攻は先ほど話した通り図書館に関連したものでしたし。前職は自転車屋だったりネジ屋さんで。
――イベントの音響を始めとする音楽事業を仕事にしたきっかけは、どのようなことだったのでしょうか?
栗原さん : 僕が就職してお給料をもらえるようになり、お金がない学生時代に比べて遊べる幅が広がった時期を都内で過ごしていたので、実は大宮に戻ってきた当初は、ほとんど知り合いがいなかったんですよね。
地元の友達はほとんど大宮に残っていませんでしたし。
そんな僕に良くしてくれたのが、大宮銀座通りにある『スパークリングハーツ』というライブもできるビアバー店主、「立澤誠」さんで。当時は別の場所で『風雷坊』というお店をやっていてよく通っていました。
そのうちに立澤さんのアイディアで、お客さん同士でバンドをやることになり、夏祭りで他のバンドにも声をかけて簡易的なライブをやったりしていたんです。
普段のバンドの活動やライブを行う際に、音響設備に触れる機会があったんですよね。
――そこが現在の活動の原点になっているんですね。
栗原さん : そうなんです。
そうこうしているうちに、立澤さんがライブが出来るお店をやりたいとおっしゃって。
それが現在の『スパークリングハーツ』になるのですが、その立ち上げ段階から関わらせてもらいました。
そこで自然とライブステージを作り込むノウハウや、ライブ時のオペレーションが身についていったんですよね。
そうすると知り合いを通して、「イベントをやるから音響関連のサポートをお願いしたい」と声をかけてもらう機会が増えまして。だんだんと活動規模が広がり、気づいたら会社の一事業になっていたんです。
――地域で仲の良い人と思いつくままに活動していたら、結果的に仕事になっていたのですね。
栗原さん : はい。
結果的にプライベートや商店街の活動としてだけでなく、仕事としてイベントに関わる機会も増えていきました。
大宮に住む人と戻ってくる人を増やすために
――地域イベントとの関わりが深い栗原さんにとって、イベントを開催することで大宮にどのような影響があると嬉しいですか?
栗原さん : 地域外からイベントに参加してくださった方が大宮の魅力を知り、大宮で働いたり、大宮に住んでもらうきっかけになれたら嬉しいですね。
それが地域の賑わいにつながり、住んでいる人にも良い影響があると思うんです。
――地域の賑わいの面でいうと、地域から出ていく人を減らすことも大切になりそうですね。
栗原さん : そうですね。
ただ、大宮は「住む地域」という側面があるので、特に若い世代が就職を機に出ていってしまうのは、ある程度仕方ないかなと感じています。
その出ていった若い世代が、いつか帰ってきたいと思える地域で在りたいなとは思っています。
――帰ってきたいと思える地域になるために、大切なことって何なのでしょうか。
栗原さん : 一つの要因としてあげられるのは、地域で面白いことをしている大人がいることかなと思います。
昨年の成人式の日に、会社の事業として関係者の許可を取り、新都心のコンコースにDJブースを設け音楽を流していたんですよね。
普段はみることの無いDJブースがコンコースにあったら面白じゃないですか。20歳の子が1万人以上集まる機会なんて、滅多に無いですしね。
視界に少し入る程度かもしれませんが、僕らの姿が頭の片隅に残り何かのきっかけに思い出してもらい、戻ってくるきっかけになれたら嬉しいです。
――戻ろうと思うきっかけは、何気ない記憶だったりしますよね。
まずはご自身が楽しみつつも、そんなきっかけになる。素敵です。本日はありがとうございました!
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〈インタビュアー・文・撮影:菊村夏水 〉
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